100万人以上が来場する「バーチャルマーケット」の仕掛人。
世界中から100万人以上が来場、ギネス世界記録も取得したVRイベント「バーチャルマーケット」を主催し、日本で最もVRコンテンツを制作する会社の一つである株式会社HIKKY。
バーチャルオフィスという新しい働き方を起業当初から取り入れるなど誰にでも開かれた世界をつくり、世の中にクリエイティブレボリューションを起こし続ける同社代表取締役 CEO 舟越靖さんにお話を伺いました。
株式会社HIKKY
代表取締役CEO
舟越 靖氏
YASUSHI FUNAKOSHI
大手通信会社退職後、⾃⾝の夢だったクリエイティブ分野へ進出。
数多くのクリエイターを組織化し、ハードウェアからゲーム・アニメ・映画など様々なコンテンツ制作・開発を手掛ける会社を複数社立ち上げた。
2018年、その中でもVR事業に特化した「株式会社HIKKY」を設立し、 世界中から100万人以上が来場しギネス世界記録™を樹立した世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」を主催。
メタバースイベント企画運営の他、HIKKY独自のWEBブラウザ上で動くメタバース開発エンジン「Vket Cloud」を開発し、2023年には一般提供を開始。
誰もが手軽にアクセスできる”オープンなメタバース“を提唱し、様々なメタバースソリューションの提供、メタバース参入コンサルティングを実施している。
価値があるのに認められないものを、誰もが認める価値へ。
学生 はじめに、御社の主な事業内容をお伺いできますか?
舟越氏 弊社は、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの技術を使って人々がバーチャルの世界で楽しんだり、学んだり、働いたり、会社を興す機会をつくったりするためのソリューションを提供する会社です。
その中でも我々が一番誇っている世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」は、プロでも素人でも作品を展示して売ることができるだけではなく、見知らぬ誰かと仲良くなり友達ができることもあります。つまり、見た目にとらわれないコミュニケーションに新しい価値を生み出す、かなり珍しいサービスを提供しています。企業理念を「クリエイティブレボリューション」と掲げているのですが、これは「誰もが持つクリエイティビティの価値が幅広く認められる世の中を創り出したい」という思いにあります。 トップクリエイターと言われる人の中にはついこの間までコンビニのバイトをしていたり、ひきこもって働けなくなった人たちがいます。HIKKYは、そういう人たちが諦めないで自分のつくりたいものをつくることができる場所になればいいなと思っています。ファーストバーチャルマーケットに携わっていたメンバーの中には、今や業界のトップクリエイターとして活躍している人もおり、優秀なクリエイターを生み出し続けているのが我々の一番の価値です。
学生 VRを仕事にしようと思ったきっかけと、起業しようと思ったきっかけは何ですか?
舟越氏 自分はクリエイターになりたかったのですが才能がなくてなれなかった。それならばクリエイターと関わる仕事をしたいと思ったのがこの業界に入ったきっかけです。
それともう一つ、僕の信念に繋がるのですが、世の中には本来価値あるものなのに価値として認められていないものがいっぱいある。それらをちゃんと価値として認められるようになると誰もが幸せだし、これをビジネスに置き換えて利益が生まれるとしたらビジネスマンとして胸を張れると思えたから起業を決意しました。
世の中にないものをカタチにする、魅力的なコンテンツづくりとは。
学生 御社が手がけた「バーチャルマーケット」に世界中から100万人が来場し、注目を浴びた理由は何だと思いますか?
舟越氏 VRの技術自体は遥か昔からあったものの、それをマーケティングや表現の場所として最適化したこと、世の中になかったものをカタチにした最初のプレーヤーであったことが一番の理由ではないかと思います。
学生 魅力的なコンテンツはどのようにつくられるのですか?
舟越氏 これはすべてのクリエイティブに共通していますが、クリエイティブは「何を追求するのか?」だけなんです。例えば、任天堂の「Switch」は三世代くらい前のゲーム機なのに現役として使われ、人々を感動させてプレイしたくなるものが詰まっている。それは魅力的なキャラクターがいるからではなく、ゲーム機の性能の限界を知った上で、最高に感動できて楽しめるクリエイティブは何かを自分たちで世界観を設定して追求したから。要するに他人が決めたガイドラインに沿ってつくるものはそれなりのものになりますが、自分たちが決めたガイドラインに沿って追求したものは、一生残るものになる。もちろん追求していくことは簡単なことではないですけどね(笑)。
実際の顔も本名も知らない、バーチャルオフィスで働くというワークスタイル。
学生 御社の特徴や強みやについて伺えますか?
舟越氏 起業当初から社員それぞれの事情に合わせて働く時間を自由に選択して、会社にほとんど誰も出社することなくアバターとハンドルネームを持ってバーチャルオフィスで働くワークスタイルが特徴であり、会社にいなくても成立する仕事の仕方ができている、というのがうちの強みです。
弊社では、17歳と70歳のスタッフが一緒に働いているのですが、両者ともお互いの年齢も顔も知りません。アバターの世界では見た目に引っ張られることがないため、リアルな世界では起こりえないシナジーが生まれ、ひとつの会社ができてしまうくらいのパワーを生み出します。容姿に依存しなくて良いのがバーチャルの最大の魅力です。また、冒頭でもお話しましたが、誰が何をつくっても良い会社なので、事務の人が「私これをつくりたい!」と手を挙げたら止める人は誰もいない。むしろ「え、マジで?どういうものをつくろうと思っているの?」と、みんなで興味を持って参加する。それが弊社の良いところだと思います。
学生 社員の中には、バーチャルの世界でしかお会いしたことがない人もいますか?
舟越氏 全然いますよ。美少女キャラに扮した男性社員がいるのですがバーチャルでの付き合いの方が長いので、リアルな場所で会っても彼を美少女キャラとして接しています。
学生 最後に、業界を目指す学生にメッセージをお願いします。
舟越氏 現在は、売り手市場なので学生さんでもちょっとしたスキルがあればすぐにプロの現場で採用されることもあります。学校で基礎を学ぶことも大事ですが、まず自分の作品をSNSに出すことが大事。良い悪いも含めて友達もできますし、僕たちからオファーすることも充分あり得ますので、まずはチャレンジしてみてください。
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