クリエイティビティとテクノロジーの力で、
世界を感動で満たすプロ集団。
エレクトロニクスの他、ゲーム、音楽、映画から金融や半導体まで、幅広いサービスで世界を魅了し続けるソニーグループの組織であるソニーデザインコンサルティング株式会社。外部企業と共にディスカッションを重ねながら、本質を見極め、感性に訴えかけるデザインで世の中に新しい価値を創造しつづける同社の池田さんと福本さんにお話を伺いました。
ソニーデザイン
コンサルティング株式会社
担当部長
池田 卓郎氏
TAKUO IKEDA
舞台美術、広告、3DCGアニメーション等のデザイナーを経て、2002年ソニー株式会社入社。インタラクションデザインを主軸に、R&D業務中心に活動。2008年米国(LA/SanDiego)へ赴任。UXドリブンの開発スタイル探索や、GoogleTVの立ち上げ等に従事し、2011年帰任。帰国後、研究開発部門にて、シニアマネージャー兼、シニアUXディレクターとして、開発案件のクリエイティブ面をリード。ユーザーとの共創をコンセプトとした、Future Lab Programの立ち上げに従事し、ウエアラブルデバイスやインタラクション技術、音声対話型エージェント等を開発。2017年より、主に外部企業に向けたソリューションデザイン業務に従事。ホテル、ミュージアム、オフィスビル等、様々な業態のクライアントとの業務を行う。ACM SIGCHI論文採択、iF Design Award受賞等。
ソニーデザイン
コンサルティング株式会社
デザインプロデューサー
福本 忠宏氏
TADAHIRO FUKUMOTO
1997年ソニー株式会社入社。部品ビジネスの国内営業から始まり、2000年より中国語学留学(北京)。その後、約20年一貫して海外のセールス・マーケティングを経験。香港・上海・台湾では、部品ビジネスにて大手PCメーカーへの台湾系ODMへのサプライチェーンを整備。シンガポールではディスプレイ系の業務用B2B商品群を担当し東南アジアのエリアマーケティングを遂行。ベトナムでは業務用B2B機器全般のセールスマーケティングを統括。中国語・英語はビジネスレベル。2021年4月より現職。現在は地方自治体案件と映像を中心としたソリューション提案に従事。
ディスカッションを重ね、クライアントと一緒につくり上げる仕事。
学生 御社の特徴や企業理念についてお伺いできますか?
池田氏 インハウスでの知見を基に社外向けサービスを展開しているのですが、サービスの領域は幅広く、プロダクトやグラフィック、また、UIや空間ソリューションなど、意匠を伴った従来のデザインはもちろん、商品開発のサポートやUX、企業のブランディング・ビジョニングなど、より上流での経営に寄り添った、長期的な視点でのデザインコンサルティングに力を入れて活動しています。
福本氏 我々は「『DESIGN SHIFT』:デザインの力で社会を良い方向へ変えていこう」をスローガンとし、社外の方と「一緒に解かなければいけない課題は何なのか?」をディスカッションしながらポテンシャルを最大化し、可能性を広げていくことを大切にしています。
池田氏 また、デザインのあらゆる可能性を開拓し続け、世界中の人々とともに新しい価値を創出することをフィロソフィーに掲げており、そこには「今後当たり前になっていくものを先んじて創造していきましょう」といった思いが込められています。そのために、どうデザインするかという表現的な事よりも、何をデザインしないといけないかという根源的な部分をしっかり議論することを心がけています。
お客様が求めているのは「モノ」ではなく「コト」。
学生 社外向けサービスということで様々な分野を手掛けていますが、デザインの核となる考え方は変わらないのですか?
福本氏 僕は今までセールス・マーケティングという部署で、いわゆるモノを売る仕事をしてきたのですが、ここのデザインに関わろうと思ったきっかけでもある案件のお話をすると、海外の某エアーラインのラウンジを新しく作ることになった時のことです。ソニーのデザインセンターは世界にも拠点があるので現地のチームと一緒に取り組んでいたのですが、エアーラインの人たちとディスカッションを重ねることで実感したのは、お客様に提供するのはモノではないなと。お客様は、何かを体験したいからモノを買っているのだと分かった。コンサルティングは「BtoB」の仕事ですが、Bの先にはCがいる。つまり「BtoBtoC」。そこはモノが先ではなく、コトが先に来る。そこにデザインの力が重要になってくる。まさにソニーデザインコンサルティングがやっていることであり、どんな分野でもデザインの核はコトにあるなと思った出来事でした。
愛媛県の柑橘をヨーロッパに向けブランディング。
学生 印象に残っているプロジェクトについてお伺いできますか?
福本氏 愛媛県の貴重な柑橘 河内晩柑「misho(ミショウ)」のヨーロッパ向けのブランディングが印象的でした。
このプロジェクトを愛南町やJA、生産者の方々と一緒に進めていくことになったのですが、河内晩柑の輸出事業には、自治体、農家、卸売・小売業者など、多様なステークホルダーが関わっていたので、関係者間の意識を統一するためのコミュニケーションデザインが必要でした。そんな中、ブランドのネーミングを考案する際に、先方からの依頼で「misho」としたのですが、Mishoの由来は、かつて愛媛県に存在した「御荘町」という町。愛南町は南宇和郡の旧5町村が2004年に合併して誕生した町で、旧5町村の1つが御荘町でした。「misho」に対して、土地の名前である「御荘」だけでなく、いまだ知られていない「未詳」のものであり、種から発芽したものという意味の「実生」など、様々なストーリーを持たせ「外国人には知られていない、愛南の希少な果実」ストーリーで関係者間の意識の統一を図りました。
学生 テクノロジーにおけるデザインの役割は何だと思われますか?
池田氏 テクノロジーに限定した話ではないかもしれませんが、目に見えない価値を正しく伝える側面と、さらに技術の次の可能性を見出して、その価値を2倍にも3倍にもしてあげられるようなところにデザインの役割があるのかなと思います。
学生 御社が求める人材はどのような人ですか?
池田氏 形を追求することも大事ですが、それだけではなくもっと広い視野でデザインを捉えられる人です。それとコンサルの仕事は押すだけではダメなので、じっくり話を聞いて人に寄り添える人が向いていると思います。もちろんじっくり話を聞いた後には、ちゃんと解を出さなければいけません。
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TADAHIRO FUKUMOTOソニーデザインコンサルティング株式会社
担当部長池田 卓郎氏
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