日本マイクロソフト株式会社
スタートアッププロジェクト
現在もTECH.C.在学中(※2022年現在)であり、日本初のマイクロソフト社から支援を受けて起業したWaSquateと、教育クラウドによりテクノロジー人材の輩出に取り組まれている、日本マイクロソフト 中井執行役員による対談。
日本マイクロソフト株式会社
執行役員 パブリックセクター事業本部
文教営業統括本部 統括本部長
中井 陽子氏
YOUKO NAKAI
セールスやマーケティング、本社でのコンサルタントなど多岐に及ぶRole(役割)を経て、2018年より業務執行役員パブリックセクター事業部 文教営業統括本部 統括本部長に就任。2021年より執行役員。文教領域の筆頭として、企業の領域から中小に至るまで、全カテゴリを跨いだインダストリーリーダシップを発揮し、GIGAスクール構想をはじめ日本全国の教育現場のデジタルによる変容を推進している。
姉妹校在校生
株式会社WaSquate
代表取締役
佐藤 大輝氏
DAIKI SATOU
東京デザインテクノロジーセンター専門学校(TECH.C.)スーパーIT科 スーパーホワイトハッカー専攻に通いながら、ゴミ分別アプリ「ゴミわかーる」を開発し、同校3年生で起業。社名の「WaSquate」は廃棄物や浪費、無にする等の意味をもつ「waste」という単語に「無駄」と「(無駄を)無くす」という二つの意味を持たせた造語。waste×waste(wasteの二乗)→waste squared→wasquateから由来している。
姉妹校在校生
株式会社WaSquate
役員
金田 直人氏
DAICHI KOTAKA
「ゴミわかーる」
[画像判別AI]
写真のゴミをAIが判定。適切な分別・処分方法をわかりやすく提示。包丁などの複合物にも随時対応予定。
[対話型AI]
選ばれた選択肢からAIが分別区分を判定。検索機能も。ゴミの名称を送ると適切な分別・処分方法を提示。
● 「ゴミわかーる」とはどんなアプリですか?
佐藤 一言で言うと「Microsoft Azure」を基盤に、AIによってゴミを分別してくれるアプリです。スマホのカメラでカシャっと1枚撮っていただければ、地域に即した捨て方や分類、ゴミ出しの曜日、注意点などゴミに付随する全ての情報をもっと分かりやすくユーザーに提示することができます。基本的にひとつの場所でゴミに関する全ての問題を解決できるようにするというのが「ゴミわかーる」の特徴です。
● AIやプログラミングの充分な知識がない中「Microsoft Learn」で学びながら開発されたそうですね。
佐藤 学校のプログラムを通して「Microsoft Learn」を利用していたのですが、基礎知識から応用までスキルを身に付けられるコンテンツが200以上あるので、自分が学びたい技術を自由に学ぶことができました。
● 学生向け「Microsoft Learn」を無償で提供されていることについてお伺いできますか?
中井氏 テクノロジーの分野は非常に速いスピードで進化を遂げる中、世界中でデジタルを使いこなす人材が不足しており、私たちマイクロソフト社員だけでできることには限界があります。そこで、元々マイクロソフト社員が研修用に使っていたコンテンツを公開してしまおうということから始まりました。その根底にあるのが「EMPOWER EVERY PERSON AND EVERY ORGANIZATION AND PEOPLE ON THE PLANET TO ACHIEVE MORE」というMicrosoft全世界のミッションにあります。
これは「地球上のあらゆる組織とあらゆる人がテクノロジーによって、より多くのことを達成できるようにする」というものです。もっとスキルを使える人が増えると、デジタルの恩恵を受けられる人が世界中に増えるということになりますので、「Microsoft Learn」がより多くの人材を輩出できる土台となるように、まずは学んでいただく機会をご提供することが私の役割の一つでもあります。
● 文系の人もチャレンジすればデジタルのスキルを身に付けられますか?
中井氏 グッドクエスチョンですね。私たちは、テクノロジーはあらゆる人が使いこなせるものであると考えているので、文系と理系の境界をなくしてしまいたいという思いがあります。文系の道に進んだ方でも、実は理系の素養や理解する力を充分に持っている場合もあります。ですから、高校生の時に選んだ道で自分の将来を限定する必要はありません。人はいつでも学べて、いつでも自分の可能性を広げられますので、マイクロソフトではすべての人に門戸を開いています。実際に、弊社で活躍している社員の中には、文系出身でしたが技術職へキャリアチェンジして活躍している人もたくさんいます。
● WaSquateが学生で日本初の「Microsoft for Startups」から支援を受けたそうですね!実際に支援が決まったときは、どんな気持ちでしたか?
佐藤 驚きと喜びと同時に「これから自分の生活や未来が変わっていくんだ!」という希望が湧いて、緊張や不安といった感情は一切ありませんでした。
金田 僕の場合はもちろん嬉しかったのですが話の規模が少し大きくて、良い意味で怖かったですね。
● SDGsという観点で、テクノロジーにおけるビジネスの可能性について伺えますか?
中井氏 私たちは「より良いことに技術を使う」という考えのもと、自然環境や文化、言葉、芸術などあらゆるものを維持するためにテクノロジーは活用できると思っています。例えば「言語」。将来的に、地域によっては受け継がれなくなってしまう言語をAIにより保護する技術があります。その他にもゴミ処理問題や海をきれいにするなど、より良い地球にしていくためにテクノロジーやAIが幅広く使われていますので、今後さらにSDGsに繋がる社会的動きやビジネスの可能性は高まっていくと思います。
● 「ゴミわかーる」の実装が今後の目標だとは思いますが、WaSquateのビジョンを伺えますか?
佐藤 日本のリサイクル率はアメリカの2分の1以下なうえ、分別が上手くできないために焼却炉が停止し、膨大な量の税金が使われているなどゴミ処理といっても本当に数多くの問題があるので、AIやクラウドコンピューティングの技術を使って、ゴミのことだけでなくより多くの環境問題を解決することを目指して社会に貢献していきたいと思っています。最終目標としては、マイクロソフト社のパートナー企業になれるように、活動を続けていきたいと思います!ちなみに、中井さんがWaSquateに期待することは何ですか?
中井氏 今後は、数値目標や「2030年、2040年に日本全国のゴミを『ゴミわかーる』によって〇〇〇する」といった具体的なビジョンを持つと面白いと思います。そうすると思いに賛同する企業や共鳴する人が世の中に必ず増えていきます。ビジョンを毎日言い続けることはとても大事ですし無茶だと思うようなことでも、まずは一つ大きな目標を立ててみることをおすすめします。大きな目標を立てて公言するのは、ちょっと怖いしドキドキしますよね。でもマイクロソフト社だって本当にできるかなんて保証はないけれども、思いを立てたことで賛同してもらえましたから。やりたいという気持ちがとっても大事。まずはチャレンジして、失敗すれば学んで次に活かすことを繰り返していただきたいと思います。
佐藤 チャレンジは得意なので、思ったことはとりあえずやってみます!
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