ゲーム業界が面白い「今」だからこそ
自分の強みを持って業界で活躍できるチャンスをつかもう!
世界中で使われているEpicGamesの「Unreal Engine」。日本におけるライセンス営業と技術サポートの提供、エンジンに関連するドキュメント類・マニュアルの日本語化などを行うエピック ゲームズ ジャパン。世界最大級のゲームのひとつである『フォートナイト』も運営。
エピック ゲームズ ジャパン
Developer Relations, Software Engineer
岡田 和也氏
KAZUYA OKADA
入社6年目。前職ではプログラマーとしてゲームエンジンを手掛け、その後現職。
現在は「Unreal Engine」のサポート業務やセミナー等を担当
ゲーム業界をはじめ、さまざまな業界で「Unreal Engine」を広めるべく奮闘中
学生 最初に、貴社について教えてください。
岡田氏 本社はアメリカのノースカロライナ州にあり、ゲームエンジン「Unreal Engine」の開発や『フォートナイト』といったゲームの開発なども行っています。日本支社ではこれらの技術サポートや運営を主に担当しています。職位は違えどフラットな雰囲気。最近はフルリモートですが、チャットツールを活用して時には雑談をしながら業務を進めています。
学生 ゲームエンジン「Unreal Engine」の特徴や強みを教えてください。
岡田氏 ゲームエンジンとは、ゲーム開発に必要なグラフィックの描画やサウンドの管理、コントローラーからの入力の処理といったゲームを開発する上で欠かせない基本機能をまとめて提供するプログラムのことです。
他社さまでも開発されていますが、「Unreal Engine」は無料でさまざまな機能が盛り込まれていて、中でもリッチな描画機能が評価されています。そのため、ゲーム開発はもちろん、車のデザインや映像制作、建築業界といった幅広いジャンルのユーザーに活用いただいています。また、「Unreal Engine」内で視覚的にプログラムを作ることができる「BluePrint」という機能が備わっているのも特徴です。BluePrintを活用すればプログラミング言語を入力することなく、ドラッグ&ドロップの簡単な操作でプログラムを作成することができます。
ゲーム開発には膨大な予算と時間がかかりますが「Unreal Engine」はプログラマー以外のデザイナーやアーティストでも活用でき、さらにカスタマイズもできるので開発効率が格段に上がるのも評価されているポイントです。最近ではさらに描画機能が向上した「Unreal Engine5.1」という新しいバージョンをリリースしました。
学生 最近ではどのようなゲーム作品で活用されていますか?
岡田氏 スクウェア・エニックスさんの『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』、バンダイナムコさんの『鉄拳8』、コナミさんの『サイレントヒル2』でも用いられています。目覚ましい飛躍を遂げている中国でも、「Unreal Engine5」を活用したゲームが数多く開発されているようです。それ以外にもアジア圏のインディゲームでも活用されておりますし、日本でもゲーム業界ではない個人のユーザーがコツコツとゲームを作っていらっしゃるようです。
また、映像の世界でも撮影前に完成状態のイメージを検討するために簡易的に作る映像に「Unreal Engine」を用いているという話も耳にします。改めて「Unreal Engine」の可能性にワクワクしているところです。
誰でもクリエイティビティを発揮できるオープンな場の創造を目指して
学生 「Unreal Engine」を使用したメタバース開発について、今後の展望を教えてください。
岡田氏 メタバースの原点は、SF小説『スノウ・クラッシュ』。弊社のCEOであるティム・スウィーニーは、今のように話題になる以前からメタバースに着目しており、2017年にリリースした『フォートナイト』に取り入れました。弊社はサービスやコンテンツといった縛りのない、誰でもクリエイティビティを発揮できるようなオープンなメタバースの展開を目指しています。そういった意味でも、「Unreal Engine」をはじめ「MetaHuman」「Megascans」「EpicOnlineService」といった、弊社の無料ツールはその実現に寄与するものだと考えています。
学生 コロナ禍でゲーム業界、クリエイティブ業界はどのように変化したと思いますか?
岡田氏 開発環境を完全にクラウドに移管して作業するというケースは最近本当に増えています。コロナ禍で生まれた新しい開発手法というところで、個人的には結構面白い流れができているなと。実際にAAAゲームの開発にも導入されています。
自分だけの強みを持ってしれつな競争を勝ち抜いて欲しい
学生 ゲーム業界に入るために、一番力を入れて頑張ったほうが良いことは何でしょうか?
岡田氏 これはあくまでも私の考えですが、ゲーム業界を目指す学生の方が非常に多い中では、自分の強みを持つことがとても重要だと感じます。良くも悪くもゲームエンジンが普及したことで、誰でもゲームを作れるようになりました。
だからこそ今は「ゲームを作れます」だけでは難しい。キャラモデルを作れる人が欲しい、レンダリングができる人が欲しい、エンジン構造がわかるプログラマーが欲しい、といった企業側の具体的なニーズに合致するような強みをぜひ作っていただきたいですね。
学生 学生のうちにしておいたほうがいいと思うことや勉強したほうがいいものを教えてください。
岡田氏 社会人になると、とにかく時間がないんです(笑)。学生のうちに、小規模でもいいのでご自身でゲームを作ってみることを強くおすすめします。
その理由は、ゲーム制作はプログラムだけでなく、モデルをつくったらアニメーションを作ったり、サウンドをつけたりと、思い浮かぶだけでもかなり膨大な工程があります。それを一通り経験すると、キャラクターを動かす処理に興味を持ったり、それとは異なるレベルデザインだったりと、ご自身が向いているところを知ることができます。それが分かれば、その方面の能力を伸ばしていくだけです。また、いざ働き始めると、自分とは同じパートではないさまざまな職種の人と関わることになります。一通りの作業を体験しておくと相手が求めていることが分かるので、コミュニケーションがはかどりますね。
また、各社さんが求める人材とマッチするためには、大手のゲーム会社だけでなく開発会社の情報も調べて、その会社が伸ばしている機能や技術をあらかじめ触れておくのもおすすめします。
学生 「Unreal Engine」を使用して作品を制作しているのですが、企業様から見る評価ポイントを教えてください。
岡田氏 標準機能や無料アセットにより、誰でも一定以上の品質を出せます。しかし、就職を視野に入れるとすると、いいゲームを作るのが正解かと問われると、そうではなかったりします。
実は、シンプルなC++で全部作りました!の方が評価されるケースもあります。ゲームを作った、ということだけではなく、どういう工夫を盛り込んでいるか、何にこだわったかをしっかりと考えておくと良いと思います。
例えば、市販のゲームでは不可欠なチュートリアルや、タイトル周りのUI、細かいところですとダメージを受けたら画面が揺れてエフェクトが出てくるといった、いわゆるゲームの基本的なものが網羅されていると、ゲームを分かっているという印象を与えられると思います。
学生 これからゲーム業界を目指す学生へエールをお願いします。
岡田氏 今のゲーム業界は研究や新しいことにチャレンジしようとしているこれまでになく面白い時期。これが3年後になると、できることが大体分かってきて今と比べると面白さに欠けてしまうと思うのです。しかも、10年単位でしか起こらないハードの入れ替え時期でもあり、プロの方がものすごくワクワクしながらゲーム開発をしています。このような恵まれた環境を新卒で味わえるのはとてもラッキー。
皆さんには体力もやる気も時間もあります。知識、知見、経験を余すことなく生かして、素晴らしい作品、面白い作品をぜひ作っていただければと思います。皆さんのご活躍を楽しみにしています!
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