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ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社
シニア・アドボケイト

簗瀨 洋平

最先端のリアルタイム3Dプラットフォームで、
クリエイターたちの創造性を解放

「ゲームエンジンUnityを使ってVRゲームを開発する」という課題に対し、学生チームはプレイヤーがコックピットに乗り込んで戦うロボットオンラインシューティングゲームを制作。日頃からUnityの普及活動に取り組み、学術・教育方面を担当分野とする簗瀨氏とともに、これからのゲームクリエイターの生き方を探る。

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ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社
シニア・アドボケイト

簗瀨 洋平

YOHEI YANASE

学生時代よりゲームデザイナー/シナリオライターとしてゲーム制作に携わり、数々の実績を残す。現在はアドボケイトとしてUnityの啓蒙普及活動に従事。特に教育機関や研究機関との関わりは深く、学生たちの発表に審査員として立ち会う機会も多々。また複数の大学等で研究者としても活動しており、人間とコンピュータの関わりについて研究を進めている。

 まず簗瀨さんの通常業務と、学生たちとの関わりについてお聞かせください。

簗瀨 はい。私の現在の職務はアドボケイトといって、Unityを多くの人に広めていく仕事をしています。そのつながりで教育機関や研究機関と関わることも多く、学生たちの発表を見させていただく機会も少なくありません。なかでも特に、今回の制作物は評価に値するものだと感じています。「VRで通信」というかなり高めのハードルをクリアして、ちゃんと人が遊んで楽しめるようにつくれるというのは、それだけで素晴らしいことです。さらに、発表後のフィードバックを受けて、きちんとそこを改善できているので、この流れでつくり込んでいけば、どんどんおもしろいものになっていくはずです。逆に学生の皆さんに聞いてみたいのですが、今回のプロジェクトに取り組んでみて、おもしろかったり難しかったりしたのはどういったところですか?

長柄 そうですね。ゲーム開発の経験は以前にもあるのですが、VRを使ったのは今回が初めてで、個人的にはジャイロ操作で実際に本当のロボットを動かしてるような感覚を体験できるのはとてもおもしろいと感じました。

多田 確かにVR特有の動きというのは、おもしろくもあり難しい部分でもありました。発表当時はコックピット内部に揺れの演出を施していたのですが、そのせいで3D酔いを引き起こしていたのです。どれだけ揺らすとどれくらい酔うのか、というのをユーザーに合わせて調整していく必要があるのだと、当たり前のことですが改めて認識しました。

簗瀨 そこに気づけたというのは、今回の大きな収穫だと思いますよ。VRのゲームをつくる際に結構重要なのが、動かないポイントをつくることなんです。たとえば飛行機のゲームなら動くのは景色であって、コックピットは動かさない。その動かないところが基準になって、酔いにくくなるのです。

 学校の授業で教わるゲーム開発と、実際の仕事としてのゲーム開発では何が大きく異なりますか?

簗瀨 今回の企業プロジェクトのように、与えられた課題の中で自分たちなりに工夫するというのは、授業の一環とはいえ、実際の仕事とかなり近いものがあります。自分のつくりたいものをつくりたいようにつくるのではなく、クライアントの要望を満たすように、確実に利益をもたらすように、と仕事には必ず何かしらの課題があります。その与えられた枠の中でどれだけ自分のクリエイティビティを発揮できるか、というのがゲームクリエイターのおもしろいところでもあります。もちろん、エンジニアとしては与えられた仕様書の通り的確に仕事ができるというのも必要とされる能力の一つですが、その中でも発注者の想像を超えていけたら、もっとチーム全体をより良く変えていくことができますので、その創意工夫の精神を忘れないようにしてほしいですね。

多田 仕事としてゲームをつくる場合には必ずプレゼンテーションがあると思うのですが、今回のように企業に対して発表する場があると、自分がどれだけ満足できるかだけでなく、人にどう受け入れられるかという視点も必要になります。そこに、これまでの制作とはちょっと違う緊張感がありました。

 今後、ゲーム業界はどのように変わっていきますか?その変化にどう対応すべきですか?

簗瀨 やはり変化の激しい世界ですので、新しいものが出てきたらすぐに調べる、実際に自分で動かしてみる、という姿勢が大切です。古くから活躍している人というのは、決して古いものにこだわり続けているのではありません。次から次へと新しいものを取り入れ続けているのです。そういう人は年配であっても、新しいツールを使って仕事に活かせるようになるまでが若い人よりも早かったりします。そうなるためには、勉強も続けていく必要があります。今興味があることや先端のことを常に勉強しておくと、後々までそれを応用していくことができます。逆に昔得た知識だけでずっとやっていこうとすると、久しぶりに勉強しようと思った時にとてつもない労力がかかります。勉強するのが当たり前になれば、常に新しい知識を得て、新しい技術で活躍できるので、皆さんも学校を卒業したら勉強も終わりではなく、学校にいるうちに勉強を当たり前にするという姿勢を身につけてください。

 これからのゲームクリエイターに、何を期待されますか?

簗瀨 そうですね。では、新卒で入社後間もない時期の皆さんに期待したいことをお話ししましょう。会社に入ると、早く現場に馴染もうとして、ついプロっぽいことをやろうとしがちなのですが、実はプロになりきれていない新卒にしかできないことはたくさんあります。たとえばゲームの企画を立てる時、私はなるべくチーム全員で考えるようにしているのですが、そういう場面で新卒の子が大活躍をすることは結構あるのです。ある程度ゲームをつくった経験があると、その分だけ自分の中に制約もできてきます。こういうものは難しいだろう、過去にダメだったから今回も無理だろう、という思い込みや決めつけです。しかし、まだ経験のない新卒の子たちは、自由でワクワクした状態のまま「こんなことできたらいいな」という夢のようなアイデアを出してくれます。実際にそういう若手の荒唐無稽な発想から生まれた大ヒット作というのも業界には数々存在しています。その新卒の価値というものを大切に、次々と新しい発想を生み出してほしいと願います。

 これからのゲームの世界を目指す学生たちに、メッセージをお願いします。

簗瀨 ゲーム業界というのは、会社員でありながら個々のクリエイティビティを発揮できて、それが評価されるという非常にやりがいを持ちやすい世界です。自分のやりたいことを実現できて、学んできたことをダイレクトに楽しんでもらえる、喜んでもらえる。その体験を、ぜひ皆さんにも味わってほしいですね。ゲームが好きで、ゲームづくりに興味があるという方は、思いきってこの世界に飛び込んでみてください。一緒にいいものをつくっていきましょう。

学生たち はい。よろしくお願いします。

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