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アーティスト

上田 バロン

アーティスト

silsil

一歩踏み出した先にある外部からの刺激がトリガーに。

自分の好きなことを仕事にして業界で活躍しつづけているアーティストであり卒業生である上田バロンさんと、silsilさん。唯一無二の表現はどのようにして見出されたのでしょうか。学生時代の貴重なお話や、アーティストとして活躍するための大切なお話を伺いました。

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卒業生

上田 バロン

BARON UEDA

京都生まれ。デザインプロダクションでグラフィックデザイナーの経験を経て2000年から独立。デビュー間もなく、東京と大阪で、大企業と裏の顔をテーマにした「STUFFED BEAR COMPANY」シリーズで展覧会を開催。連動でスタートした、AIロボットをベースにしたキャラクター「AI BEAR」を、現在も変わらずさまざまなプライベート作品やコマーシャル作品等に描き続けている。

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卒業生

silsil

女性の心の世界を表現するアーティスト。ペインティングを主な表現手法とし、非現実なものへの予感や期待・また生命にしか持ち得ない特別な力、生々しさが心へ及ぼす振動をアクリル絵具で描く。女性性や愛に溢れる作風で、女性画や抽象作品を発表。アートパフォーマンスとしても評価が高く、日本国内でのライブアートバトルチャンピオン。

毎日がキャンプのようだった刺激にあふれた学生時代。

 お二人は、在学中はどんな学生でしたか?

silsil 当時は24時間学校が使えていたのでパソコンを持っていなかったこともあり、ずっとMacを触りたくて全く家に帰らず学校に泊まるような学生でした。授業が終わったら作業して、夜になれば近くにある銭湯に行き、また学校に戻ってカップラーメン食べながらクラスメイトとワイワイして「そろそろ課題やらな」と、12時過ぎぐらいから課題をやり始め、朝を迎えてそのまま授業を受けるような生活をしていました。毎日がキャンプのようで楽しかったですね。また、学校が都会にあるというのは刺激がありとても良い環境だったと思います。この辺はおしゃれな街でカフェや素敵なお店のショップカードやハガキを集めてファイリングして。学校だけではなく街からデザインを学ぶこともありました。

上田 フライヤーとかもけっこう集めたよね。僕も学校帰りに商店街を歩きながら、ゲームセンターへ行ったり買い物などをよくしていました。もちろん授業もめちゃくちゃ大事ですけど、新しい人との出会いやクラスメイトとの人間関係を通した体験が作品に現れることもあります。つまりアイデアは自分の身の回りの経験から出てくるものなので、学生の3年間という時間で新しいことにチャレンジして、とにかく楽しむことで、創作にも生きてくると思います。それは技術だけでは作れませんから。

アイデンティティを見出した海外での出会いと商店街での出会い。

 唯一無二のアイデンティティはどのようなタイミングで、どのようにして生み出してたのですか?

silsil 私は在学時代にストリートで絵を売りに行くというのが流行っていまして、お小遣い稼ぎに自作のポストカードを商店街の路上にマットを敷いて売っていたことがあります。初めは全然やる気がなくて、まわりの子たちに「今日行こうよ!」と誘われて「じゃあ私も行くわ」という感じでした。silsilという芸名もつけて。そのときは自意識過剰だったので「みんな私を見てる」と思っていました。でも実際に絵を見てくれる人は本当に少ない。
よっぽど作品に惹かれた人しか気づいてくれなくて…。そこから作品を見てもらいたいという気持ちが芽生えて「どうやったら見てもらえるかな?」と考えるように。色んな作品をつくり始めたのはこの経験がきっかけかもしれないです。

上田 それは良い経験だよね。学校で1番だとしても、世の中に出て現実を知る。

silsil 「何で描いてるの?」「何を表現したいの?」と、アートに対する根本的なことを直球で質問されるので、その質問に答えていくことで自分自身の思いが明確になりました。

上田 そこでは学生ではなく1人のアーティストとして見られていたということだね。
僕の場合は、卒業後はデザイン会社に入ったので、個性を出すよりはクライアントの依頼をどうやってしっかり世の中にカタチとして出すか。その延長線上に絵を表現していたので、どうしても自分の個性が消えてしまっていたし、表現に一貫性がないという現実に気づいてしまった。そこから「自分の表現ってなんだろう?」と、仕事もしながら自分探しをする日々。最終的にトリガーとなったのはL.A.へ行ったこと。学生時代の海外研修でロンドンとニューヨークへ行きさまざまな経験ができたので、自分で海外へもう一度行ってみようと思って。そこには日本にはない自分の好きな音楽やアート、映画ファッションが沢山あり、ものすごく刺激を受けて、自分のつくりたいものが何なのかが分かった。
帰国直後のグループ展があったので、海外で影響を受けた空気感をダイレクトに落とし込んだ絵を素直に描いたのですが、周りの評価も良くて。もし海外へ行っていなかったら今の僕は全然違うことをやっていたと思います。

silsil 二人の共通点は“外部からの刺激”かもしれないですね。

 イラストを描いているときに、調子があまり出ないなというときの気分転換法はありますか?

上田 ずっと悩み出して全然できないと思ったら、距離を置くことが大事だと思います。例えば、違う作業課題でも良いし、他のことを並行してやると少し気分が整うこともあります。あるいは、もう少しスパルタな感じで言うと、人の展覧会を見に行くのは良いです。もちろん有名な作家のクオリティの高いものを見るというのもあるけど、若手や自分の友達だとかもう少し身近な人がいい。すると、悔しさもちょっと出てくるんです。ジェラシーって僕は大事だと思っていて、悔しいと思うということは、自分がやれていないから。そこに気づけることで、また頑張ろうと創作意欲が湧いてくる。

silsil それはメラメラして良いですね。私の場合は旅行だったり、いつもと違う場所に行って、全く違う世界の人たちと接するようにしています。漁師さんや農家さんにお会いして「魚ってこんな色をしてるんや」「野菜ってこんな形なんや」と、見て感動すると新しい制作力になりますね。

アーティストも信頼関係が何より大事なこと。

 表現することでお金を稼いで生きていきたいと思ったときに、一番大切なことは何ですか?

上田 信頼がめちゃくちゃ大事だと思う。なぜかというと最初はみんな誰しもが信用ゼロから始まる。それでも依頼していただいているわけだから、たとえ少額であっても適当にやるのではなく受けたらからには責任をもってやり通す。最終的に「よかった、ありがとう」と相手が喜んでくれると嬉しいですしね。だから僕は人の信頼をできるだけ裏切らないように自分のできる限界を常に出し切るようにしていますし、相手にも伝わると思っています。

silsil バロンさんが人生の大切な部分をおっしゃっていただいたので、私は超現実的な部分でいきますね。先生とのつながりを大事にする。普通の学校の先生の場合は、住んでいる世界が違いますけど、私たちは卒業したら同じ世界へ行くので、同じ世界の先輩がすぐ近くにいるということは貴重だと思います。卒業してからも「今仕事ないんですよ」と相談したら「バイトで10日間ぐらいおいで」と言ってくださる先生もいるし、私もお世話になった先生から声をかけていただいて一緒にお仕事をしたり、個展を手伝っていただいたこともあります。それと仕事先で出された見積もりの相談などもしたことがあります。見積もりだとか、なかなか人には聞けないことも赤裸々に答えてくださいますし、他にも「こんな仕事をいただいたんですけどツテはないですか?」と、人脈も広いので色んな方を紹介してくださったりもしました。

上田 生徒と先生の関係って一生の師弟関係のようなものだからね。卒業しても先生との関係は続いて行く、それもこの学校の良いところですね。

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